マンション管理適正化法・マンション管理適正化施行令・マンション管理適正化法施行規則が改正され、令和3年3月1日以降、マンション管理委託契約において以下ようにITが活用できることになりました。
- 重要事項説明書・契約成立時の書面・管理事務報告書の電磁的方法による交付
- ITを活用した重要事項説明会・管理事務報告会
重要事項説明書等の電磁方法による交付
電磁的方法により書面を交付する場面
電磁的方法により書面を交付する場面は、次の3つの場面があります。
- 重要事項説明書(マンション管理適正化法72条)
- 契約成立時の書面(マンション管理適正化法73条)
- 管理事務報告書(マンション管理適正化法77条、マンション管理適正化法施行規則88条・89条)
国土交通省不動産・建設経済局参事官が各業界団体の長あてに発した通達(令和3年3月1日国不参第51号) によれば、IT提供を行う場合、一般社団法人マンション管理業協会が作成した「マンション管理委託契約における重要事項説明書・契約成立時の書面・管理事務報告書の電磁的方法による交付に係るガイドライン」に準拠した方法により実施する必要があるとされています。
重要事項説明書
マンション管理業者が、管理組合と管理委託契約を締結しようとする場合、あらかじめ、説明会を開催し、マンションの区分所有者・管理者等に対し、管理業務主任者により、管理委託契約の内容・履行に関する重要事項を説明する必要があります(マンション管理適正化法72条1項前段)。
また、マンション管理業者は、説明会の日の1週間前までに、マンションの区分所有者・管理者等に対し、重要事項説明書と説明会の日時・場所を記載した書面を交付する必要があります(マンション管理適正化法72条1項後段)。
もっとも、区分所有者等に交付する重要事項説明書については、区分所有者又は管理者等の承諾があれば、書面の交付に代えて、電磁的方法により交付することができます(マンション管理適正化法72条6項)。
承諾
電磁的方法の種類・内容を示して、書面か電磁的方法により承諾を得る必要があります(マンション管理適正化施行令10条1項)。
承諾を得ることができない場合、書面を交付することになります。
電磁的方法による承諾書の取得方法は、次のとおりです(マンション管理適正化法施行規則84条の4第1項)。
① コンピューター・ネットワーク利用
イ.電子メールを利用
ロ.管理業者のホームページを閲覧
② 電子記録媒体利用(CD、DVD等)
これらの方法は、マンション管理業者が出力することにより書面を作成できる(見読性・非改ざん性の確保)ものである必要があります(マンション管理適正化法施行規則84条の4第2項)。
電磁的交付の方法
電磁的交付の方法は、次のとおりです(マンション管理適正化施行規則84条の2第1項)。
① コンピューター・ネットワーク利用
イ.電子メールを利用
ロ.管理業者のホームページからダウンロード
ハ.管理業者のホームページを閲覧(専用ページ)
② 電子記録媒体利用(CD、DVD等)
技術的基準への適合
電磁的交付の方法は、次の基準に適合するものである必要があります(マンション管理適正化法施行規則84条の2第2項)。
① 相手方が出力することにより書面を作成できること(見読性・非改ざん性の確保)
② 管理業者のホームページからダウンロードする方法や管理業者のホームページで閲覧する方法の場合(電磁的交付の方法①ロハの場合)、電子ファイルに必要な情報を記録した旨を相手方に通知するものであること
③ 管理業務主任者名が明示されるものであること
相手方に示す電磁的方法の種類・内容
相手方に示すべき電磁的方法の種類・内容は、次のとおりです(マンション管理適正化法施行規則84条の3)。
① コンピューター・ネットワーク利用の方法・電子記録媒体利用の方法(例:電子メールを利用する方法(電磁的交付の方法①イ)など)
② ファイルへの記録の方式(例:PDF、Acrobat Reader 9.0以上等)
契約締結後の書面
マンション管理業者は、管理組合と管理事務の委託契約を締結した場合、管理組合の管理者等に対し、遅滞なく、契約事項を記載した書面を交付する必要があります(マンション管理適正化法73条1項)。
もっとも、マンション管理業者は、管理組合の管理者等の承諾を得て、書面の交付に代えて、書面に記載すべき事項を電磁的方法より提供することができます(マンション管理適正化法73条3項)。
承諾
電磁的方法の種類・内容を示して、書面か電磁的方法により承諾を得る必要があります(マンション管理適正化法施行令10条1項・3項)。
承諾を得ることができない場合、書面を交付することになります。
電磁的方法による承諾書の取得方法は、次のとおりです(マンション管理適正化法施行規則84条の4第1項)。
① コンピューター・ネットワーク利用による方法
イ.電子メールを利用
ロ.管理業者のホームページで閲覧
② 電子記録媒体利用による方法(CD、DVD等)
これらの方法は、マンション管理業者が出力することにより書面を作成できる(見読性・非改ざん性の確保)ものである必要があります(マンション管理適正化施行規則84条の4第2項)。
電磁的交付の方法
電磁的方法による交付の方法は、次のとおりです(マンション管理適正化法施行規則85条の2・84条の2第1項)。
① コンピューター・ネットワーク利用による方法
イ.電子メールを利用
ロ.管理業者のホームページからダウンロード
ハ.管理業者のホームページで閲覧(専用ページ)
② 電子記録媒体利用(CD、DVD等)
技術的基準への適合
電磁的交付の方法は、次の基準に適合するものである必要があります(マンション管理適正化法施行規則85条の2・84条の2第2項)。
① 相手方が出力することにより書面を作成できること(見読性・非改ざん性の確保)
② 管理業者のホームページからダウンロードする方法・管理業者のホームページで閲覧する方法の場合(電磁的交付の方法①ロハの場合)、電子ファイルに必要な情報を記録した旨を相手方に通知するものであること
③ 管理業務主任者名が明示されるものであること
相手方に示す電磁的方法の種類・内容
相手方に示すべき電磁的方法の種類・内容は、次のとおりです(マンション管理適正化法施行規則84条の3)。
① コンピューター・ネットワーク利用の方法・電子記録媒体利用の方法(例:電子メールを利用する方法(電磁的交付の方法①イ)等)
② ファイルへの記録の方式(PDF、Acrobat Reader 9.0以上等)
管理事務報告書
管理者がいる場合、マンション管理業者は、定期に、管理者等に対し、管理業務主任者によって、管理事務に関する報告をする必要があります(マンション管理適正化法77条1項)。
また、マンション管理業者は、管理事務に関する報告を行う場合、管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、その期間におけるマンションの管理の状況について管理事務報告書を作成し、管理業務主任者により、管理者などに交付して説明をする必要があります(マンション管理適正化法施行令88条1項)。
もっとも、マンション管理業者は、管理事務報告書の交付に代えて、管理事務報告書を交付すべき管理者などの承諾を得て、管理事務報告書に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができ、電磁的方法により提供した場合、マンション管理業者は、管理事務報告書を交付したものとみなされます(マンション管理適正法施行令88条2項)。
承諾
電磁的方法の種類・内容を示した上で、書面か電磁的方法により承諾を得る必要があります(マンション管理適正法施行規則88条4項)。
承諾を得られない場合、書面を交付することになります。
電磁的方法による承諾書の取得方法は次のとおりです(マンション管理適正法施行規則88条4項)。
① コンピューター・ネットワーク利用
イ.電子メールの利用
ロ.管理業者のホームページの閲覧
② 電子記録媒体利用(CD、DVD等)
これらの方法は、マンション管理業者が出力することにより書面を作成できる(見読性・非改ざん性の確保)ものである必要があります(マンション管理適正化法施行規則88条5項)。
電磁的交付の方法
電磁的交付の方法は、次のとおりです(マンション管理適正化法施行規則88条2項)。
① コンピューター・ネットワーク利用
イ.電子メールを利用
ロ.管理業者のホームページからダウンロード
ハ.管理業者のホームページで閲覧(専用ページ)
② 電子記録媒体利用による方法(CD、DVD等)
技術的基準への適合
電磁的交付の方法は、次の基準に適合するものである必要があります(マンション管理適正化法施行規則88条3項)。
① 相手方が出力することにより書面を作成できること(見読性・非改ざん性の確保)
② 管理業者のホームページからダウンロードする方法・管理業者のホームページで閲覧する方法の場合(電磁的交付の方法①ロ・ハの場合)、電子ファイルに必要な情報を記録した旨を相手方に通知するものであること
相手方に示す電磁的方法の種類・内容
相手方に示すべき電磁的方法の種類・内容は、次のものです(マンション管理適正化法施行規則88条6項)。
① コンピューター・ネットワーク利用又は電子記録媒体利用(例:電子メールを利用する方法(電磁的交付の方法①イ)等)
② ファイルへの記録の方式(PDF、Acrobat Reader 9.0以上等)
中止の申し出
申出があれば、電磁的方法による提供はできません(マンション管理適正化法施行規則88条7項各号)。
IT重説
マンション管理業者が、管理組合と管理委託契約を締結しようとする場合、あらかじめ、説明会を開催し、マンションの区分所有者・管理者等に対し、管理業務主任者により、管理委託契約の内容・履行に関する重要事項を説明する必要があります(マンション管理適正化法72条1項前段)。
また、 管理者がいる場合、マンション管理業者は、定期に、管理者等に対し、管理業務主任者によって、管理事務に関する報告をする必要があり(マンション管理適正化法77条1項)、管理者等がいない場合、定期に、区分所有者等に対し、説明会を開催し、管理業務主任者によって、管理事務に関する報告をする必要があります(マンション管理適正化法77条2項)。
国土交通省不動産・建設経済局参事官が各業界団体の長あてに発した通達(令和3年3月1日国不参第51号) によれば、 マンション管理適正化法72条に基づき管理業務主任者が行う重要事項の説明、マンション管理適正化法77条、施行規則88条・89条に基づき管理業務主任者が行う管理事務報告書の説明にITを活用するにあたっては、次に掲げるすべての事項を満たしている場合に限り、対面による重要事項説明等と同様に取り扱うとされています。
⑴ 管理業務主任者及び重要事項説明等を受けようとする者が、関係書類及び説明の内容について十分に理解できる程度に映像を視認でき、かつ、双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境において実施していること。
⑵ 重要事項説明等を受けようとする者に重要事項説明書又は管理事務報告書を法令に従って送付していること。
⑶ 重要事項説明等を受けようとする者が、関係書類を確認しながら説明を受けることができる状態にあること並びに映像及び音声の状況について、管理業務主任者が重要事項説明等を開始する前に確認していること。
⑷ 管理業務主任者が、管理業務主任者証を提示し、重要事項説明等を受けようとする者が、当該管理業務主任者証を画面上で視認できたことを確認していること。
併せて、ITを活用した重要事項説明等(IT説明)を行う場合、添付したガイドライン( マンション管理委託契約におけるITを活用した重要事項説明会・管理事務報告会に係るガイドライン )に準拠した方法により実施する必要があるとされています。
また、管理業務主任者は、IT説明を開始した後、映像を視認できない又は音声を聞き取ることができない状況が生じた場合には、直ちに説明を中断し、当該状況が解消された後に説明を再開するものともされています。
そして、ガイドラインに準拠した方法以外により行われたIT提供及びIT説明(IT提供等)は、法令違反となる場合があることに留意する必要があるが、軽微な通信障害の発生などにより必ずしも本ガイドラインに準拠したとは言いがたいIT提供等を行った場合については、当面の間、監督処分の実施を柔軟な運用とするともされています。