総会の招集権限

総会の招集は、招集権限のある者が行う必要があります。

招集権限のある者が招集しなければ、総会が有効に成立せず、総会の決議も無効になることがあります。

招集権限

管理組合が法人の場合

区分所有法では、集会は理事が招集するとされています(区分所有法47条12項・34条1項)。

もっとも、理事に対して集会の招集を請求したり(区分所有法47条12項・34条3項本文)、区分所有者が集会を招集(区分所有法34条4項)できる場合もあります。

管理組合が法人でない場合

管理者がいるとき

区分所有法では、集会は管理者が招集するとされています(区分所有法34条1項)。

もっとも、管理者に対して総会の招集を請求したり(区分所有法34条3項本文)、区分所有者が集会を招集(区分所有法34条4項)できる場合もあります。

区分所有者による総会の招集については、こちらのページで説明します。

標準管理規約では、以下のように規定されています(42条3項・4項)。

  • 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない
  • 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる

管理者がいないとき

区分所有法では、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、集会を招集することができる、とされています(区分所有法34条5項本文)。

区分所有者による集会の招集については、こちらのページで説明します。

招集権限ない者による招集

招集権限のない者により総会が招集された場合、その総会における決議は無効・不存在になるとした裁判例があります(東京地裁平成13年2月20日、東京地裁平成18年1月30日)。

招集権限のない者によって招集された総会の決議が無効・不存在になると、その総会で選任された理事も正当な役員でないことになる結果、理事会も正当な理事会でなく、理事会で選任された理事長も正当な理事長でなく総会を招集する権限がないことになり、その理事長が招集した総会も存在しないことになります。

そのため、役員の選任決議が無効・不存在となると、改めて正当な方法で総会決議をしなおさない限り、いつまでもその後の総会決議が有効にならない事態になりかねません。

<東京地裁平成13年2月20日>

…平成6年総会は、招集権限のない者によって招集された総会であり、区分所有法所定の事項等をあらかじめ通知せず、特別多数決議の要件も満たさない規約変更決議を行うなど瑕疵が著しいから、平成6年総会において行われた各決議はいずれも不存在であると認めるのが相当である。
…無効な資格要件に関する規約を前提として選任手続が行われた平成7年臨時総会における理事選任手続には著しい瑕疵があるというべきである。そして、この瑕疵は決議を不存在とするものとは解されないが、同総会における理事選任決議は全体として無効と認めるのが相当である。
…既に判断したとおり、平成7年臨時総会における理事長選任決議は無効であるから、Bが理事長として招集した平成7年定期総会は、無権限者によって招集されたものであり、平成7年定期総会において、理事に選任されたのは、平成7年臨時総会と同様に被告ら13名であるから、平成7年臨時総会について判断したのと同様に、理事選任決議にも著しい瑕疵がある。
そうすると、平成7年定期総会においてなされた決議は、いずれも不存在というべきであり、同日の理事会における理事長及び副理事長の選任決議も不存在であると認められる。
…なお、平成5年総会以降の理事選任決議及び理事長選任決議はいずれも不存在又は無効であるから、現在、原告管理組合は、理事長としての職務権限を有するものが不在の状態にあるといわざるを得ない。

<東京地裁平成18年1月30日>

…Cは、本件マンションの区分所有者ではなく、したがって被告の組合員ではない以上、本来、理事長に選任されることはできず、その直前の総会において理事長に選出された事実が存したとしても、理事長としての権限を有するものではないから、結局、本件総会及び本件臨時総会は、いずれも、招集権者でない者が招集したものというほかなく、前記管理規約の規定に明らかに違反しており、権限ある者による招集を定めた区分所有法34条の趣旨に照らし、重大な瑕疵があったといわなければならない。
もっとも、…本件総会及び本件臨時総会は、招集手続に瑕疵があるとはいえ、いずれも、実際に相当数の組合員が出席し、議決権数を満たして開催され、議事が進められたものであるから、総会それ自体を不存在とすることはできないものであるが、前記のとおり、招集権者でない者が招集して開催された総会において行われた本件決議には、重大な瑕疵があるから、無効であるというべきである。