マンション標準管理規約の改正(令和3年6月)

令和2年6月に成立・公布された「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替えなどの円滑化に関する法律の一部を改正する法律」、新型コロナウィルス感染症の感染拡大などの社会情勢の変化を踏まえ、国土交通省は、令和2年7月にマンション管理の新制度の施行に関する検討会を設置して検討を進め、令和3年6月にマンション標準管理規約の改正を公表しました。

このページでは、マンション標準管理規約(単棟型)の改正の概要について説明します。

マンション標準管理規約(団地型)の改正については別のページで説明します。

ITを活用した総会・理事会

「ITを活用した総会」等の会議の実施が可能なことを明確化し、これに合わせて留意事項等も記載されました。

ITを活用した総会・理事会の具体的な開催方法は、一般社団法人マンション管理業協会が「ITを活用した総会の実施ガイドライン」を定めています。

また、 『「マンション標準管理規約」の改正について(概要)』では、「このITを活用した総会・理事会については、それを可能とすることを明確化する観点から標準管理規約の改正を行っているものであるため、この改正に伴って各管理組合の管理規約を変更しなくとも、ITを活用した総会・理事会の開催は可能です。」とされています。

「ITを活用した総会」などの会議を実施するために用いる「WEB 会議システム等」の定義を追加(第2条)

理事長による事務報告が「ITを活用した総会」などでも可能なことを記載(第38条関係コメント)

「ITを活用した総会」等の会議を実施するにあたり、WEB会議システム等にアクセスするためのURLを開催方法として通知することが考えられることを記載(第43条及び同条関係コメント(総会)・第52条関係コメント(理事会))

ITを活用した議決権の行使は、総会や理事会の会場において議決権を行使する場合と同様に取り扱うことを記載(第46条関係コメント(総会)・第53条関係コメント(理事会))

「IT を活用した総会」などの会議の実施が可能であること及び定足数を算出する際のWEB会議システムなどを用いて出席した者の取り扱い等(第47条及び同条関係コメント(総会)・第53条及び同条関係コメント(理事会))

マンション内における感染症の感染拡大のおそれが高い場合などの対応

感染症の感染拡大のおそれが高いと認められた場合における共用施設の使用停止などを使用細則で定めることが可能であることを記載(第18条関係コメント)

感染症の感染拡大の防止等への対応として、「ITを活用した総会」を用いて会議を開催することも考えられるが、やむを得ない場合においては、総会の延期が可能であることを記載(第42条関係コメント)

置き配

置き配を認める際のルールを使用細則で定めることが考えられることを記載(第18条関係コメント)

専有部分配管

共用部分と専有部分の配管を一体的に工事する場合に、修繕積立金から工事費を拠出するときの取扱いを記載(第21条関係コメント)

管理計画認定及び要除却認定の申請

総会の議決事項として、改正適正化法第5条の3第1項に基づく管理計画の認定の申請及びマンション建替円滑化法第102条第1項に基づく要除却認定の申請を追加し、これに合わせて規定順を整理(第48条)

マンション管理計画認定制度については、こちらのページで説明します。

その他所要の改正

改元に伴う記載の適正化

第15条関係コメント④、第17条関係コメント⑮、第19条関係コメント③、第31条関係コメントの様式、附則第1条~第3条から年号が削除されました。

書面・押印主義の見直し

デジタル社会形成整備法において、区分所有法第42条3項・4項の改正がされ(「押印」の文言が削除され「署名」だけで足りることになりました。)、第19条関係コメント③の様式から押印欄が削除され、総会の議事録への組合員の押印(第49条(ア)第2項(イ)・第3項)、規約原本等への区分所有者の押印(第72条第1項・第3項・コメント①)が不要となりました。

なお、

「マンション標準管理規約」の改正について(概要)』では、「総会の議事録への区分所有者の押印を不要とする改正(第49条(ア)第2項(イ)第3項関係)については、今般のデジタル社会形成整備法による区分所有法の改正が令和3年9月1日施行であることを踏まえ、同日までは引き続き押印が必要であることにご留意ください。」とされています。

最高裁判決に伴う改正

最高裁判決(平成29年12月18日) を踏まえて理事・理事長の選任・解任に関する規定が整理されました。

理事長の解職については、こちらのページで説明します。

「電磁的方法」の定義の追加等

「電磁的方法」の定義、電磁的方法が利用可能な場合についての規定が整理されました(第17条1項、第19条の2第2項、第19条の2コメント①、第21条第3項、第22条第2項、第31条、第44条3項、第44条コメント、第46条(イ)第8項、第46条コメント⑥、第49条コメント②、第53条コメント⑥、第72条1項・3項・コメント①)。

理事の資格

「成年被後見人若しくは被保佐人」は役員になれないとされていましたが、成年被後見人・被保佐人であっても、個別の事情によっては役員になることができるようになりました。

長期修繕計画の期間の見直し(第32条関係コメント②等)

なお、令和3年9月に、長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・コメントも改正されました。

敷地売却決議が目的の場合の通知事項